「元首相」と言うものが、国家権力の一点集中である「首相」としてのリスクを抱えた存在であることは、先日述べましたが、さらに安倍元首相には固有の問題があり、それがリスクを大きく高めていたと言えます。
権力者が不公正を行い、罰せられずにのうのうとしているのであれば、激しい怒りを買うのは当然でしょう。仮に誤解だと言うのであれば、どれだけの誤解を受けているのか、国家権力のトップだった人物やその取り巻きが推し量れていないと言うのであれば、致命的な欠陥と言えます。
そして、その致命的な欠陥のため、実際にリスクを理解できず、好き勝手にやった結果が、警備のほころびを生み、このような事件を生んでいると言えます。元首相が自由を求めるのも分かりますが、おのずと限界があります。首相は国家の頂点です。日本で一人です。ましてや安倍元首相は様々な事件を起こし、ルールを歪めて国民の大半から反感を買っている。制約がないはずがないのです。その制約を何が何でもどんなコストを払っても払しょくする、そんな横車が通るはずがないのです。
実際、シロウトの単独犯の犯行です。これを警察が防げないわけがありません。もし防げないのであれば、これはミスと言うものではなく、警察警備そのものの不能、不全を表すことになってしまいます。恐らくは異常に過度の負荷がかかったと考える方が妥当です。奈良県警は立場上、不備を認めざるを得ない状況に追い込まれていますが、元首相側がリスクを軽視し、軽率に行動していることは、結果から見て火を見るより明らかです。奈良県警がかわいそうです。
安倍元首相がなぜ首相に長期に渡ってなっていたのか。それは安倍元首相の目的が政治ではなく岸一族への名声にあったからです。政治を政治ととらえ、国民のことを考えれば、あのような政治はできません。目的が岸一族への名声であれば、政治はそのための手段でしかなく、政治の枠を超えた不正や悪行の実行が容易になります。他の人から見れば、そこに不思議な力を見出してしまうことになるでしょう。しかし、それは単にズレた人がズレたことをやっていただけなのです。
改憲も改憲が目的なのではありません。もし改憲が目的ならば「改憲しても何も変わらない」などと言うようなおかしなことを言うはずがありません。そこには改憲が目的なのではなく、あくまで「改憲を行った岸一族」と言う名声を得ることが目的であるということが見て取れるのです。
安倍元首相がそういう考えで行動する以上、帰結としてあのような事件となってしまったのは当然と言えるのではないでしょうか。おかしな勢力と結託し、おかしな政治を行う。それもすべて岸一族の名声を得るためであれば、何も厭うことはない。そんな安倍元首相のおかしな政治を止めるべきだとした人々は、それで安倍元首相の命を救っていたと言えます。しかし、安倍元首相はその警告を真摯に受け止めず、どこまでも岸一族の名声を求め続けるモンスターとなり果てていたと言えるのではないでしょうか。