自民党のいわゆる裏金問題がいまいち本質とずれてしまっている気がする。公的に外部から律するには犯罪としての立件で処罰するしかないのだが、問題の本質は実はそこではない。
安倍政権のモラルのない手法である脱法政治が続けられたために、自民党全体が脱法政党になってしまっていることこそが問題の本質なのである。安倍政権は「法律(ルール)は脱法するためにある」と言わんばかりに、安保法制、検察の定年、日本学術会議への干渉など、脱法政治をやり続けてきた。これは安倍と言う人間の問題が大きいが、与党のおごりと言う土壌があってこそでもあり、自民党と言う組織全体が安倍脱法に倣うようになってしまった。
いわゆる裏金問題も、安倍的脱法思考により、「ただしキックバックは報告する必要はない」と言う解釈を勝手に作り出していたことに問題がある。安倍の悪夢から覚めた社会が問題化したが、自民党の中の人は未だ悪夢から目覚めていないのではないかと言わざるを得ない。
行為自体は積極的に裏金を作ろうとしたわけではなくて、サンドイッチマンのゼロカロリー理論、「ドーナツは穴があるからカロリーゼロ」みたいに「キックバックは寄付じゃないから報告不要」みたいに間違った解釈をして会計処理の手を抜いたのが本質で、ついでに自由なお金なので悪いことにも使えた、みたいなことはあったのかも知れない。これに対して組織的犯罪だ、と言われると、「バカだから間違えただけだし。組織的犯罪じゃないし」と思ってしまうのだろう。
よって、問題の本質は、自民党が組織的に頭が悪い、と言うことなのだが、そう言っても仕方がないので、「組織的犯罪」で追及せざるを得ない。だが、本質は自民党が頭が悪い、と言うことである。ちょっとレベルが低くていったいどうしたものか。海辺で砂浜にゴミを埋めて帰る海水浴客をどうすれば良いか、道端でタバコを吸って吸殻を落としていく人をどうすれば良いか、と同じレベルで、政治資金収支報告をちゃんとやらない人をどうすれば良いか、と言う話なのである。