新型コロナにかかった人は抗体が出来て、2度とかからないしうつさないと言う前提のもと、ある程度の人数がかかった集団においては伝染しにくくなる状態になるであろうと予想されることを、集団で免疫を獲得したようなイメージで捉えて「集団免疫」と言っているのかと思う。
実際には、1人の感染者が生み出す2次感染者数の平均値である「実効再生産数」が重要で、これが1未満になる状態が抗体保有者数の増加で実現された状態を「集団免疫」と言うのだと思う。これには感染者を特定し隔離し2次感染者を増やさない体制がどれだけ取れているかも関わって来ると思う。
抗体保有者数の増加で、ウイルス保有者が未感染者と接触する機会が減ることで感染可能性が減って感染者の発生が減少傾向になると言うのは、今の日本の行動自粛も同じ原理だと思う。自然に感染が抑えられるか、自粛して感染が抑えられるか、そういう違いで「自然に感染が抑えられる」つまり「免疫」と称せられるのだろう。
スウェーデンは「ストックホルムでは既に25%が感染して免疫を獲得した」との見解を表明したとのこと。この25%はスウェーデンの「感染者を特定し隔離し2次感染者を増やさない体制」においては有効な値と言うことなのだろう。残念ながら日本の現状では行動自粛8割でも感染者の減少傾向が確実ではないので、25%と言うわけにはいかないだろう。
今、人との接触を通常時より8割カットすると言う目標の元、外出自粛が行われている。携帯電話の数で人出の数を見たりしていて、その数がある程度指標とはなっているが、実際の接触数をどれだけ正しく反映しているのかは分からない。自粛の結果としても、感染者の発生が減少傾向となっているのかは分からない。それはともかくとして、今の自粛目標を「集団免疫」として実現するならば8割の人が新型コロナにかかった状況、約1億3000万人の8割、約1億400万人が感染しなければならない。これはあまりに実現性がない。
ちなみに、スペイン風邪では当時の日本の人口約5500万人に対し約2380万人が感染したとWikiにあるので、8割に達する前に流行が終わっているようである。仮に収束時点で「集団免疫」ができていたと考え、仮に新型コロナも同様に5割で「集団免疫」となるのであれば、6500万人の感染が必要となる。
何にしても「集団免疫」となるためには千万単位の感染者が必要となるのではないかと思う。現状約14,000人の日本では「集団免疫」となるのはいったいいつの話となるか分からないし、感染すれば死者が多数発生するのは免れない。
今の日本は、抗体保有者数で「集団免疫」を実現するのは難しいため、外出自粛などその他の対策により感染者の発生を減少傾向とし、発生が0に近づくまでその状態を続けることにより収束させ、ワクチン等の有効な治療法が確立されるまでは自粛を緩和しつつも徹底した感染管理を行うために各種制限を取る、と言う流れかと思う。
日本は鎖国の国なので傾向としてはこのままだろうが、これまでの対応を見るに収束に持って行くのはなかなか難しいのではないかと言う恐れがある。一方、欧州型のウイルスなどで感染爆発が起きる可能性もあると思う。その場合は「集団免疫」の方に梶を取らざるを得なくなるかもしれない。もっともスウェーデン以外の欧米も「集団免疫」となるほどの感染者数になるには遠いので同様の問題を抱えることになるだろう。